看護教育における病態学の教授学習には視覚的に病態を捉えることが重要である。そのため、種々のメディアを活用した教授学習法を工夫し、授業効果を教授側からと学習側から相互に評価した。 プリント、スライド、OHP、実物投影機、ビデオなど授業で用いるすべての教材をメディアと考え、教官のすならず学生自身も授業に参加してこれらメディアを利用するように工夫した。授業評価は、授業に関する意見調査、授業内に行う理解度に関する文章形式の小テスト、中間期および期末に実施するチョイス形式も含めたまとめのテストなどを実施して授業評価を行うとともに、授業風景をビデオに撮影して教官と学生の反応を解析して評価の対象とした。 病態学がカバーする範囲自体が広く、新しい知識としての病態学に関する用語の理解が困難であった。プリントによる解説、小テストによる復習などで対処したが、学生を十分に納得させるだけの効果はなかった。これは文章表現による病態ないし現症の説明が不十分なことから明らかであった。また、プリントによる疾患や病態の説明、図表化を利用し、必要性を認めながらなおいわゆる「教科書」を要求する学生もいた。 視覚的表現ではスライドの効用が高く、病態の映像は学生にインパクトをもって迎えられた。しかし、多人数しかも長時間スライドで行う授業は室内が暗くなるとともに睡魔に襲われる学生が多く効果が減退した。 教官がただ単に疾患や病態を羅列として教授することなく、授業ごとに新しい試みや工夫をすることで学生が興味を持てるように教材を用意する必要性を認めた。 理解度を高めるための更なる工夫ならびに学生自身が意欲を持って学習できる工夫の必要性が感じられた。
|