研究課題/領域番号 |
08680003
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
家政学
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
石井 泰博 東京農工大学, 農学部, 助教授 (90015090)
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研究分担者 |
岡村 浩 昭和女子大学, 生活科学部, 教授
野村 義宏 東京農工大学, 農学部, 助手 (10228372)
白井 邦郎 東京農工大学, 農学部, 教授 (70107168)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1996年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 着用靴内の衛生 / 着用靴内気候 / 靴内の蓄積汗成分 / 靴内の生育微生物 / 人工皮革靴 / 天然皮革靴 / 皮膚常在菌 |
研究概要 |
着用が繰り返される靴内部の環境を衛生学的に評価するために、汗滞留の性能が異なる靴素材で蓄積する汗成分と生育する微生物について検討した。靴甲と靴甲裏の素材にそれぞれ中牛革と豚革及び人工皮革と合成の多孔不織布を使用した同じ靴型の婦人用靴を組で製作し、天然革靴及び人工皮革靴とした。3名の女子大生に天然皮靴及び人工皮革靴をそれぞれ合計が180時間になるまで着用させた後、解体して靴内部の足先部甲裏、足先部中敷、踵部中敷素材から試料を採取し、抽出成分の分析と微生物実験をした。 靴素材の水移動特性:靴裏素材にした天然革は多孔不織布と透湿度、吸水度がほぼ同じであるが、吸湿度が非常に優れている。特に、天然革靴の中敷の上に水を含ませた綿を乗せると、そのほとんどが無くなってしまうほど早く移動する。これに対して多孔不織布は孔内に水が滞留して、移動しない。 蓄積成分:足裏から分泌された汗成分のうちナトリウムや塩素イオンが中敷に蓄積しており、天然皮革靴より人工皮革靴の中敷に多かった。また、酪酸や吉草酸が検出されたことから、皮脂分解による異臭発生を起こしている。 微生物実験:寒天培地で計測した微生物数は、天然革靴は中底に多くて、人工皮革靴では中底と甲裏が同程度に多かった。成育する微生物の種類は、着用が短い120時間以内では天然革靴、人工皮革靴ともほとんどが皮膚常在菌であるグラム陽性のMicrococcaccae、及びCladosporiumなど塵などに見られる真菌であった。180時間になると天然革靴にはAspergillusとPenicilliumが検出された。このように、素材の内に液体水を滞留する人工皮革靴は細菌数が優勢で、移動の早い天然革は低水分になりやすいためにPenicillium類が生育する。 靴内気候:天然革靴は人工皮革靴より着用時に湿度が低いが、着用する靴下でこの差異が小さくなっていると考えられた。さらに、6ヵ月間の着用実験は4月まで継続している。
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