研究概要 |
家庭科の学習では,座学習,実習学習,実験学習の三つの形態の有機的な統合により,学習成果の向上が期待できる。家庭科学習への実験手法の組込みは,授業の進行中の生徒に思考力や注意力の集中を要求するだけではなく,基礎知識修得の重要性への気付きと日常生活への活用など学習補助効果に優れている。本研究では,家庭科における実験学習の支援のための教材およびカリキュラムの開発を行うことを目的とした。 1.反射率・透過率測定装置を自作した。本研究経費の補助による小型携帯用色差計の測定との相関性は極めて高いことを確認した。院生の演習時にそれぞれ製作・測定を試み,授業実践への導入の有効性を検討した。 2.簡便で材料費の低廉な通気性測定装置を自作した。本装置は,本学で開催した,平成8年度文部省産業教育指導者養成講座技術・家庭(家庭系列)において,参加者全員1人1装置を自作し,測定を試みた。参加者の感想から,実験学習,特に個別実験,及び教科内容への取り組む姿勢の重要性を再認識している様子が伺えた。本装置の活用例として,石けん-硬水系列洗濯による綿布の織物構造の変化を通気性変化から確認した。 3.ガスビュレットを1学級分(40組)自作し,家庭科被服分野では,保温効果,被服地の色と輻射熱の吸収,洗剤中の炭酸塩含有量の決定等に,理科では,温度上昇に伴う空気の膨張,化学反応に伴う発生ガス量の定量,分子量の決定その他への活用を検討した。教材と通した教科間(理科と家庭科自然系分野)の連携を含んで小学生(徳島県宮内小学校他),高校生(三重県鳥羽高校他)を対象として授業実践を行った。 それぞれの研究成果の一部は,第43回日本家政学会中国・四国支部研究発表会(平成8年10月,松山),日本化学会東海地区・化学教育研究協議会(平成8年10月,静岡)で報告した。
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