研究概要 |
1,エールリッヒ腹水癌細胞は増殖に当り膜成分であるコレステロール(CHL)を取り込む。マウス皮下に接種した場合に顕著な増殖を示す同癌細胞のCHL量は10^9細胞当り3〜6mgの範囲であった。そこで同癌細胞に対するCHLの供給を阻害することで細胞増殖が抑制されるのではないかと考え,肝CHL合成を阻害するクロフィブレート(Clf.)とブラバスタチン(Prav.)を同癌細胞を腹腔内ないし皮下に接種したマウスに投与したところ,Clf.は20mg/kgまたはPrav.は400mg/kgの投与量で,それぞれエールリッヒ癌を含む4種類の異なる癌細胞の増殖を抑制し,DAsAの制癌性が確認された。 2,ビタミンCの示す制癌作用は酸化型のデヒドロアスコルビン酸(DAsA)によることをマウスのエールリッヒ癌細胞で知見しているので,8年度はDAsAの他の癌種に対する制癌作用を検討した。1項同様にDAsAはエールリッヒ癌を含む4種の癌の増殖を抑制し,DAsAの制癌性が確認された。またDAsAの制癌機構としては発癌性の低分子アルデヒドの消去効果が示唆された。 3.癌細胞の接種時に著量のCaが腹水内に移行し蓄積されることから,胆癌時の骨強度に与える影響を検討した。8年度はマウス腓骨の強度測定を試みた。食餌中のCa分の体内吸収とマウス腓骨の強度が摂取するタンパク質に強影響されることを確認し,食餌中の乳類タンパク質と魚肉タンパク質の添加がCaの吸収と腓骨強度を顕著に高めることを知見した。 4.癌細胞が増殖に当りミネラルの特に銅を取り込むことを知見しているので,8年度より植物色素の銅キレートの制癌性を検索している。
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