研究概要 |
(1)体重増加抑制作用について 脂肪細胞C3H10T1/2B_2C_1を用い,マイタケ水抽出液に脂肪細胞の分化を抑制する効果が存在することを明らかにした.水抽出物の分子量1〜3万,3〜5万画分と,熱水抽出物の3〜5万画分に(いずれも限外濾過)分化抑制効果がみられた.さらにこれらの画分をGPCによるHPLC,ODSによるHPLCにより分析した結果,数個のピークが得られた.またこの水抽出物をSephadex G-100のカラムで分析したところ,限外濾過により画分した1〜3万と3〜5万は同じ様なクロマトグラムが得られた. (2)血圧上昇抑制作用物質について マイタケ抽出物のペプシン消化物については,数個のACE阻害ペプチドが存在するが,3つのペプチドについて単離,同定した.(a)Glu-Pro-Ser-Gly-Pro-Ser-Gly(b)Tyr-Pro-Ser(c)Lys-Tyr-Thr-Phe-Ala-Val-Thr-Thr-Val-Lys-Trp-Valそしてこれらのペプチドを合成して,阻害活性を測定した結果,それぞれLD50は(a)2160μM(b)570μM(c)2.6μMであった. また,マイタケ水抽出物そのものにもACE阻害活性が存在し,Sephadex G-100,G-25,そしてODSのHPLCにより単離,同定している.G-25で分析できる画分はいずれもペプチドと思われる. (3)糖尿病ラットについて マイタケ投与のSTZ誘発糖尿病ラットには,血糖,尿糖,尿量などに改善がみられる.β-細胞にもダメ-ジが少なく,インスリンの分泌が観察され,14週後のマイタケ投与群では顕著に血糖値の減少が観察され,血液中のインスリン分泌が増加していた.これらの結果から,マイタケによる抗糖尿病効果は,マイタケに存在する生理活性物質がインスリンを刺激して,血糖値が低下し,改善するものと思われる.
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