研究概要 |
福島市郊外を流れる大森川の水質は前回の調査時(平成3年度)と同様で、ほとんど改善されていないことがわかった。河川水のCOD(申請した機器により測定),BOD,アンモニア性窒素,リン酸イオンの数値は住宅密集地域で増大することから,下水道や合併処理浄化槽の整備が進んでいないために、生活排水が川に直接流入することが原因であると推察された。アンモニア性窒素やリン酸イオンは富栄養化の原因物質であるが、食品等の分解生成物に由来するほか最近では洗剤等にも含まれており、このような製品を多量に使用することには問題がある。また、多量の有機物や窒素、リンを含む河川水を農業用水として利用する場合には、肥料管理が難しくなるという問題が生じてきている。 一方、生活排水による水質汚濁について消費者はどのように考え家庭で工夫しているのかについて、約100世帯を対象としてアンケート調査を実施した。台所用洗剤の使用方法を取り上げ、水質汚濁などの環境問題への関心や環境に配慮した何らかの取り組みを行っているかどうか質問したところ、「関心がありなんらかの工夫をしている」積極派39%、「関心はあるが何もしていない」消極派55%、「無関心」6%であった。このような環境に対する意識の違いが有意に現れたのは、<表示への関心>と<食器の洗い方>についてであり、環境問題への関心が高い家庭ほど表示を見ている割合が高く、食器洗浄においても「軽い汚れは水で洗う」「汚れを拭き取ってから洗う」などの環境に配慮した行動をとっていることがわかった。また、表示をみていても目分量使用をしていることから、標準使用量を記載している目的が消費者に充分に伝わっていないという問題が示唆された。必要以上に洗剤を使わなくてもすむ使用方法を容器に明示し、環境に配慮した洗剤の使い方を消費者に理解してもらうことが生活排水の汚れを削減する上で有効であると思われる。
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