研究概要 |
本研究では、スポーツ科学における生体と流体の連成解析を行うため、有限要素法(FEM)ソルバーと有限体積法(FVM)ソルバーを連成させた解析システムをインプリメンテーションし、サッカーのインスインステップキックやカーブキックに適用した。(研究発表論文参照) インステップキックに関するコンピュータシミュレーションでは、高速VTR(4500fps)による実験値と良好な近似を示し、インパクト部位やスイングスピードによるキックの動特性について明らかにした。また、カーブキックに関するコンピュータシミュレーションでは、動摩擦係数を0とした場合(Case 1)と動摩擦係数を0.7とした場合(Case 2)を比較すると、10msec.間の回転変異はCase 1が16.0 deg.,Case 2が23.0deg.となっており、本研究では約1.4倍の差異がみられた。つまり、摩擦係数を考慮したCase2(6.4r/sec.)は、考慮しないCase 1(4.4r/sec.)の約1.5倍となっており、実験1の平均値8.72r/sec.,実験2の平均値7.98r/sec.に近い値となっていた。もちろん、この値は動摩擦係数の設定で変動するものであるが、本研究では摩擦を考慮しなくても約60パーセント以上の回転モーメントが発生することが推定された。従って、シューズのアッパーの材質による摩擦による影響も、ボール回転に多いに関係していると思われるが、それと同時に偏心衝突による回転モーメントの発生も技術的に重要な要素となることが示唆された。
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