研究概要 |
本研究の目的は,健常なタイプA者における有酸素運動訓練が果たす心臓自律神経機能およびタイプA自己評定の効果を調べることであった.地方新聞によって研究参加を公募した結果,78名の参加希望者が応募した.彼らに、まずA型行動パターン(TABP)質問紙調査を行わせ,そのタイプA者として男子14名,女子14名の被験者を選んだ.その後,被験者は9週間の有酸素運動を行う群(AE群)とウエイティング・リストに登録された統制群(WC群)に無作為に分けられた.両群の被験者は,9週間の訓練期間の前後に、彼らの精神課題遂行に伴って記録される心電図R-R間隔連続記録をパワー・スペクトラル分析され,その結果から心臓自律神経機能検査を行った.加えて、体重および体力の指標として換気閾値(VT)の測定を行った.その結果,AE群は,訓練後に,VTを改善し,体重を減少させたが,WC群ではそのような傾向は見られなかった.AE群は,パワー・スペクトラル分析によって示された心臓副交感神経機能(高周波数パワー値)が訓練によって大きく改善させた.自覚変化の測定のいくつかでも,AE群はWC群よりも有意に大きな値を示した.これらの結果は,有酸素運動訓練は,TABPそのものには影響を与えないが,タイプA者の心臓副交感神経機能を増強し,間接的に彼らの心臓疾患罹患への危険性を予防する可能性を示唆している.
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