研究概要 |
本研究は,地理学で発展した都市システム論を援用して,東アジアの経済発展のプロセスを都市間結合の動態を通して把握することを試みた.東アジアにおけるメガシティの成長,都市機能の変化,都市間リンケージの強化の過程などに焦点を当てることによって,各都市が結節点として東アジア国際的都市群システム,あるいは上位の世界的都市群システムにいかに組み込まれ,いかに機能しているかを探った. 東アジア諸国では,工業化,交通網や情報伝達網の敷節,インフラの整備などによって都市間交流が増大した結果,首都を中心とする階層的な国家的都市群システムが作られたと考えられる.また,経済発展とともにメガシティが国境を越えて国外のメガシティと経済的リンケージを強めており,現在,東アジア全体を包含する国際的都市群システムが形成されつつある. 東アジアの国際的都市群システムと国家的都市群システムの発展に関しては,東アジア各国は,経済発展の程度によって4つのカテゴリー,すなわち日本,NIES(韓国,台湾,シンガポール,ホンコン),ASEAN(フィリピン,マレーシア,インドネシア,タイ),その他(中国,ベトナム,ミャンマーなど)に分類された.この分類をもとに,アジア国際的都市群システムの発展過程をモデル化した. 今後ますます高まるであろう国境を越えた都市間相互依存あるいは競合によって,金融を中心に中枢管理機能を集積したメガシティは,東アジア国際的都市群システムのなかで中心性をさらに強めるであろう.
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