研究概要 |
多摩ニュータウン内での住み替えに伴う人口移動について,とくに自然・社会両面にわたる居住環境と関連づけながら,その実態と転居規定要因を分析した。この目的を達成するために,近年ニュータウン内で転居した世帯(移動世帯)と,当該移動世帯周辺の世帯(滞留世帯)を標本抽出し,転居理由や居住環境評価を尋ねたアンケートを実施して,データを入手した。各々100世帯強の有効回答者について特徴をみると,平均世帯属性は,世帯主が40歳代のホワイトカラー層で,世帯人員は4人であることがわかった。主な移動理由としては,子供の成長や誕生と,住宅環境への不満があげられる。移動世帯の旧住居に関する居住環境の評価と滞留世帯の現住居に関する居住環境の評価を比較すると,「住宅の広さ」や「住宅の間取り」等の住宅関連の項目についての評価が前者で低くなっている。また,GISにより,総合的な居住環境評価の地域的分布を分析したところ,地形条件と各種施設への近接性により居住環境評価の大小がある程度規定されていることがわかった。そして,移動と滞留の意思決定をロジット・モデルによって分析したところ,転居の意思決定は生活環境関連変数よりも住宅関連変数によって説明されることがわかった。
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