研究概要 |
1 研究の目的 IEA(国際教育到達度評価学会)のプロジェクト「第3回国際数学・理科教育調査」の理科の論述形式問題の詳細な分析を行うことによって,児童・生徒の理科における表現力と選択肢形式問題の到達度との関連を明らかにした。 2 研究の方法 第3回国際数学・理科教育調査において小学校3・4年生と中学校1・2年生に対して実施した理科の論述形式問題のうち,小・中共通に出題された5題の中から1題を選び,さらに小学生だけ,あるいは中学生だけに実施された1題ずつを選んで,小・中とも各2題を分析対象とし,記述内容をそのまま入力した。各問題を分析する際の観点は,解答状況,記述文字数,使用用語,および解答と使用用語との関連についてであった。 3 結果及び考察 論述形式問題により傾向は異なるが,解答の正答率は上学年が下学年を上回っている。また,小・中共通問題では学年とともに正答率は順調に伸びている。解答の記述文字数については,上学年が下学年よりも多い傾向にあり,また女子の方が男子よりも多い傾向がある。使用用語については,解答の正・誤により使用している用語に違いがみられる。特に,キーワードとなる用語における差がみられた。解答と使用用語との関連を調べるために,解答を目的変数,用語を説明変数とする重回帰分析を行ったところ,各問題とも上述のキーワードの説明率が高く,解答の変動に大きく寄与していることが明らかとなった。
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