研究概要 |
1. 日本人学生のための英語教育のうちで,英語の音声の聴取・発音の学習には,発話に伴う口形の変化の情報を組み合わせて勝つようすることが,非常に有効であることに注目した.このための教材の作成の基礎データとして,とくに子音の分析で,国際音声記号体系(International Phonetic Alphabet,IPA)の調音の方法と調音の位置との2次元に子音を配置した表のうえで,口形の分析データを参照して,同じ口形に属する領域を表示した. これらの異なる口形は,調音の位置の次元に対応するので,調音の異なる音声が同じ口形の領域に存在するが,英語と日本語の子音体系の違いのために,これらの同口形異音の構成が異なる.そこで,このような同口形異音のなかでの調音の位置と方法の関係を,音声の聴取・発話の教材に組み合わせるために,最も適切な手順について,感覚情報処理の立場も含めて検討した. 2. 日本人学生のための英語の聴取・発音の教材の編集手法を,IPAによって一般化することを検討した.英語の音声に対する日本語の音声の最も重要な違いである,母音体系と子音の種類について,計算機利用指導(Computer aided instruction,CAI)のソフトウエアを活用して,学習過程の個人差とIPAによる介入の効果を調べた. 観測の結果として注目されるのは,1)被験者の間で,母音も子音も聴取の成績に50〜90%の範囲の個人差が大きいこと,2)母音と子音の聴取の成績の相互に逆転していること,3)学習の過程で必要な段階数に非常に差があることなどである.4)IPAによる介入の効果は,聴覚的に音声の枠組みの違いをまだ把握していない被験者に有効であった.
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