研究概要 |
本研究では、問題づくりをもとにした図形の授業を実施する。その指導法による授業を中学2年生40名のクラスを対象として5回実施し、図形の性質を発見的に学習する意欲の向上を図るとともに、生徒がなじめ授業で実際に使用することが出来る事例を開発することをねらいとする。問題づくりによる授業で使用した原題は次の5つである。原題1.平行線l,mに1つの直線nが交り、lとの交点をA、mとの交点をBとする。同側内角/A,/Bをそれぞれ2等分する直線の交点をPとする。このとき直線APと直線BPは垂直であることを証明しなさい。原題2.2等辺3角形ABCの辺AB上に点E、辺AC上に点Dをそれぞれとり、/DBC=/ECBとする。このとき、AD=AEであることを証明しなさい。原題3.平行四辺形ABCDの対角線BD上に点E,Fをとり、/BAE=/DCFとする。このとき、四角形AECFは平行四辺形であることを証明しなさい。原題4.台形ABCDの対角線の交点をPとし、点Pを通る辺ADに平行な直線がAB、CDと交わる点をそれぞれE、Fとする。AD=6cm,BC=10cmとするとき、線分EP,PFの長さを求めなさい。原題5.四角形ABCDの各辺の中点を結んで出来る四角形は平行四辺形であることを証明しなさい。 1つの原題についてほぼ4時間の授業が必要であった。各授業終了時に生徒のその授業に対する感想を書かせた。1回目の授業から5回目までの授業にわたり、生徒のつくった問題と感想や、質問紙調査、問題づくりのテストの様相を考察した結果、次のような知見を得ることが出来た。1.原題1から5は、問題づくりに対してはやや難しい問題からやさしい問題であり、また発展的な取り扱いも可能であり、問題づくりの授業で使用するのに適する。2.原題1から5を使用した授業を通して、生徒は問題づくりのポイントを身につけることができる。3.問題づくりの授業は、1学期に2〜3回実施することが生徒の学習意欲を高め保持するには適当であり、それより多くなるとめんどうな授業と感じる生徒がふえる。
|