研究概要 |
小学校4年,5年,6年を対象とする調査研究を行って、数量に関する規則性発見場面で式を一般化して問題解決する力を調べた。その結果、4年、5年,6年と学年が上がるにつれて式を一般化する力は向上するが、どの学年でも、小さい項数の式(n=3)の一般化可能性を評価して少し大きい項数の場合(n=12)に適用することは困難であった。また,規則性発見問題において解決方法の一般性を評価できるかを調べる調査研究からは,4年、5年、6年のどの学年の子どもも一般化可能な方法をよい方法として選択できるが、よさの理由として解決方法の一般化可能性を指摘できる子どもは少なかった。しかし、一般化可能性を指摘できる子どもの一般化問題の解決力は高かった。 授業研究では、4年生を対象に表や図から規則性を見つけて式を作り、その式を一般化することを目標とする授業を行い,効果的な指導計画を検討した。授業で式のよみを重視し、図からパターンを見つけて式を作り,一般化する指導を行えば、一般化可能な式が与えられた時の一般化問題の成績が優れた。しかし、子ども自ら簡単な問題場面をもとにして一般化可能な式を作ることは困難であり、さらに指導が必要であることが指摘された。また、5年生を対象とした授業研究では、「少ない場合から順にきまりを見つける」方略と[簡単な場合で関係を考える]方略の指導方法を検討した。これら2つの方略の獲得と応用の授業が必要であることがわかった。 一連の研究から「簡単な場合で関係を考えて一般化可能な式を作ること」の指導が子どもの一般化する力を育てる上で重要であることが示唆された。
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