研究課題/領域番号 |
08680309
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教科教育
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研究機関 | 中村学園大学短期大学部 |
研究代表者 |
久富 さよ子 中村学園大学短期大学部, 幼児教育科, 助教授 (50078549)
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研究分担者 |
松園 聡美 中村学園大学短期大学部, 幼児教育科, 助手
棚田 聡美 中村学園短期大学, 助手
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1998年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1997年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1996年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 幼児 / 音楽教育 / 民俗芸能 / 保育科学生 / 文化 / 遊び / 祭り / 地域 / 伝統音楽 |
研究概要 |
本研究では、将来保育者となる学生を対象とし、学生が地域の伝統的な音楽文化に対する認鐵ど理解を深めるための教育の内容と方法を検討することを目的とした。 本研究の目的を達成するために、次の2つの方向から研究を進めた。1、地域における祭りを音楽および人の関わりにおいて調査する。2、大学児童科、短期大学幼児教育科における保育内容「表現音楽」のなかで地域の伝統的な音楽文化をとりあげて実践をおこない、その成果を検討する。授業における実践は、学生の子ども時代の遊びと地域に残る民謡や芸能をとりあげた。 1、については3年間にのべ16箇所の地域における祭りと芸能を調査した。それらの地域のうち、福岡県那珂川町の岩戸神楽、岩手県遠野市の遠野祭り、沖縄県のエイサー、宮崎県高千穂市の夜神楽等を継続的に調査し、一部をビデオに編集し、授業の教材として利用した。2、遊びの実践は毎年行った。また地域の芸能、および民謡については黒田節、エイサー、はじめ学生の住む地域民謡の実践を行った。学生が住む地域にある祭への参加を奨励し、理解の方法について指導した。 研究の成果:研究課題に基づいた継続研究の結果、次のようなことが明らかになった。地域における伝統的な音楽文化について学生に理解させるには、学生自身にそれらがすでに内在されている部分があることを、自ら発見させることが重要であると考える。つまり、地域や伝統的な音楽文化は学生にとって異質なものでも、距離のあるものでもなく、学生自身の経験のなかにこそあると考えられる。何故なら、学生は子どもの頃、日本の音感覚によって作られたわらべうたで遊んでいる(久富さよ子:保育者養成における表現音楽の指導ー遊びの伝達を通してー、全国大学音楽教育学会研究紀要第9号、10-19、1998)。また、地域の祭りのなかで様々な芸能に触れたり、あるいは演じた経験をもつ学生もみられる(久富さよ子・松園聡美:地域における伝統的音楽文化の理解ー学生は祭をどのようにみているかー、全国大学音楽教育学会研究紀要、22-45、1999)。従って授業では、学生を学生自身に向き合わせ、伝統的音楽文化が自分に内在することを学生自ら発見し、確認させていくことが重要であると考えた。そしてその方法として、遊びの伝達や学生が住む地域の祭りへの参加、および民謡を実践することを試みた。これらの試みは、学生に子どもの頃の感覚を思い出させるとともに、自己を対象化して見ることを可能にした。対象化した自己を通して子どもを観察する時、学生は改めて祭りが行われる意味や音楽の役割、保育との関連の視点や子どもを子どもの側から理解する方法を学ぶことが出来るように思われる。また他の地域の祭りや芸能を知ることはいずれも自己を認織することと、それぞれの学生が住む地域を理解するうえに重要であることが示唆された。
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