研究概要 |
本研究は,実用的日本語音声教育の基礎資料として外国人日本語学習者の音声知覚の特性を解明することを目的として計画された.1995年以来,このグループは学習者の日本語音声を生成と知覚の両面において実験的研究を続けてきたが,4.1の知覚実験研究の成果から特殊モーラを含む日本語の重音節の研究に焦点を絞り,特に長母音を含む音節の問題をテーマとして聴覚的分析と実験的手法によっていくつかの研究を行い口頭発表と論文発表を行った. 外国人学習者の日本語重音節知覚を調べるに先だって,実際の自然な発話において日本人がどのように韻律を制御しているかを観察・計測したところいわゆる「あらたまった」スタイルの発話においてえ,予想以上の頻度で母音長の時間的制御が崩れていることが分かった.そして,この点について先行研究を求めたところこれまでにほとんど実証的な研究の行われていないことが分かり,様々な手法で長母音の短母音化現象の研究を試みた. 今回の2年間の研究においては被験者の総数が限られたため断定的な結論を提出するに至らなかったが,今後は被験者の数を加えてデータを増やし,統計的処理を加えつつさらに研究を進めて行きたいと考えている.
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