初級日本語学習者が来日直後に必要な日本語コミュニケーション・ストラテジーを、アンケートおよび面接によるニーズ調査によってあきらかにすること。そして、それに適した自律的学習環境を、ハイパーメディアによる教材開発によって実現することを目的とした。まず、ニーズ調査によって、来日直後の留学生は、郵便局、電話使用時、商店街、研究室、指導教官の家という場面で、挨拶する、買い物をする、電話する、自己紹介する、場所を聞く、などの行動をするときのためのストラテジーが特に必要であることが分かった。こうしたストラテジーが自習できる学習環境として、ハイパーメディアによる教材のプロトタイプを作成した。プロトタイプであり、まだ全ての場面を提供してないが、学習者は、自分の必要に応じて場面を選び、表現を聞きくことができる。この教材は、これだけで学習を完結させるものではなく、ここでの学習をきっかけにして、実際の場面で自律的に使用することを促すのが目的である。そのため、学習者が利用する可能性のある場所の写真を取り入れ、その場所に関係する情報も知ることができるようにした。学習者の興味や必要性に応じて、情報が得られるようにと考えたが、まだプロトタイプであり、現在のところ内容は限られている。学習者がこの教材によって学習し、その評価を待ってさらに完成に近づけたい。
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