研究概要 |
1. 本研究の基礎となるモンテカルロフィルタの近似誤差,収束性などの基本的性質に関する研究を行なった.その結果,粒子数と近似精度の関係があきらかとなった.この研究の過程ですべての粒子が事後分布の平均に確率1で収束する事後平均フィルタのアルゴリズムが得られた.また,従来のモンテカルロアルゴリズムの予測・フィルタの2段階を棄却法で実現する新しいアルゴリズムについても検討を行った. 2. 非線形状態空間モデルの状態ベクトルに未知パラメータを付加することにより,状態ベクトルと未知パラメータを同時に推定する自己組織型のアルゴリズムの研究を行った.その結果,外乱の分散パラメータばかりでなく,システムの動特性を規定する係数パラメータについても適用可能であることが判明した. 3. 自己組織型フィルタを経済データおよび地球科学データに応用する研究を行った.経済データに関しては分散変動モデル,季節調整モデルの自動推定への応用を行った.地球科学データに関しては信号系列の分散を同時推定することにより,外乱中の微小地震の信号波形を抽出することが可能となった. 4. この方法では,より簡単な場合であるパラメータが時間変化せず一定の場合には,この方法はかえって数値的な問題を起こすことがわかった.したがって,このような場合に特化した数値的に安定名アルゴリズムを開発することが今後の課題として残された.
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