研究概要 |
佐藤(1994,応用統計学)のランダム化にもとづく治療効果の推定方法にもとづいて、ランダム化臨床試験のための新しいサンプルサイズの設計方法を開発した。ランダム化臨床試験では、治療のランダム割り付けという非常に強い操作を通じて、確率分布の仮定を必要としない解析方法を用いることができるが、サンプルサイズの設計に関しては従来二項分布の仮定にもとづいて計算されてきた。この方法は、現実の臨床試験では、医師または患者が割り付けられた治療法を正しく守らない状況が起こりうるので、いわゆる治療不遵守(ノンコンプライアンス)も考慮に入れて計算できるという特徴を持っている。 現実に起こりうる3,100通りのパラメータの組み合わせについて、従来提案されている二項分布にもとづいたサンプルサイズ設計法との比較を行った。その結果、87%は±10%の違いしかみられなかったが、サンプルサイズが20%以上食い違う場合がごくわずかではあるが存在した(0.5%)。 この研究成果の一部は、第18回国際計量生物学会議(1996年7月、アムステルダム)で発表した。
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