研究概要 |
1. 分散マーカをもつ語頭同期符号の符号化・復号化アルゴリズムの導出 語頭同期符号は,ブロック符号の各符号語の先頭部分に配置した共通の部分列をマーカとして用いることによって,同期のはずれた符号語系列の同期を修復する符号であり,コンマフリー符号とも呼ばれる.マーカが連続したシンボル列ではなく,値の固定された部分と任意の値をとりうる部分に分けられるものを分散マーカとよぶ.すでに著者らによって,同じマーカ長であれば分散マーカを用いた符号のほうがより多くの符号語をもつことが明らかにされている.本課題では,分散マーカをもつ語頭同期符号の符号化・復号化算法を確立した.具体的には,辞書式順序の意味での順序のもとで,各符号語の順位を計算する算法(復号化)と,与えられた順位をもつ符号語を構成する算法(符号化)を導出した. 2. 分散マーカの構成法 分散マーカ中で値が固定されたビットの数kに対してとりうる分散マーカの最大長さと,その最長マーカを構成する方法を与えた. 3. シンボル挿入・削除誤り訂正可能な語頭同期符号 語頭同期符号であり,かつ,符号語中に高々2つ発生したシンボル挿入・削除誤りを訂正する符号を構成した.データ圧縮されたあとの符号語の列に生じた誤りはほんの少しでも,致命的な復号誤りがあとの符号語に伝播してしまう.本研究で構成した符号では,一つの符号語の中に同期誤りとシンボル誤りが同時に起こらない限り,同期の修復と誤ったシンボルの訂正を行うことができる.
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