研究概要 |
分散データベースにおける逐次化グラフを用いた分散制御によるスケジューリング手法に関し,従来提案していたアルゴリズムを基に以下の研究を行なった. (1)提案アルゴリズムのシミュレーション評価:提案アルゴリズムを種々の環境で用いた場合の有効性を評価するため,種々の条件下でシミュレーションを行ない,トランザクション実行時のスケジューリングのために必要となるメッセージの通信量などを算出した.その結果,提案アルゴリズムは他のアルゴリズムと比べてデータアクセスの局所性の影響を受けやすいほか,分散型データベースを構成するサイト数が多いときにより有効であるということがわかった. (2)障害回復可能なアルゴリズムの提案:従来提案していたアルゴリズムは,(i)逐次化グラフ検査に時間がかかる,(ii)サイト障害などの故障から回復できない場合が存在する,という問題点がある.この問題を回避しうるスケジューリングアルゴリズムとして,(i)すべての操作をただちに実行しトランザクション終了時にその有効性を検査する,(ii)局所的コピーを用いて実際のデータベースへの書き込み操作を遅らせることにより障害からの回復を可能にする,ことを特徴とするアルゴリズムを提案し,その正当性の証明,シミュレーションによる基本性能の評価を通じて有効性を示した.
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