研究概要 |
本研究の目的は、帰納論理プログラミングにおいて、連続値の境界値を効率的に見つけるための手法を研究することにある。境界値を見つける手法は、ニューラルネットワークや決定木を用いた学習ではよく研究されており、よい成果が得られているが、表現能力が命題理論レベルに限られるため、不十分である。たとえば、金型設計において、接続関係を表現するには、要素を変数を用いてラベル付けする必要があり、述語理論レベルの記述が必要とされる。 これまでのニューラルネットワークにおいては、固定されたトポロジーのネットワーク上で数値で伝播させることにより、計算が行われるため、述語論理のように構造を持った対象を扱うのが困難であった。これを解決する方法として、申請者はグラフリダクションによる推論機構を開発しており、推論の各ステップにおいてネットワークのトポロジーを変化させることにより、述語論理レベルの推論をネットワーク上で行うことができる。従来の帰納論理プログラミングの手法とは異なり、離散値を枚挙して疑似的に連続値を扱うのではなく、ネット-ワーク上の重みを用いて連続値を直接学習するのが、提案する方法の特長である。 本研究では、この手法,およびそれを変形して,述語論理表現を埋め込んだ決定木を生成する手法をそれぞれ開発し,単一プロセッサおよび分散システム上で,コストに基づく推論および学習機構を開発した.その結果を金型設計,プリント基板設計,および情報フィルタリングに応用し,良好な結果を得た.
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