研究概要 |
音声認識の究極的な目的の一つがディクテーションシステムの実現である.海外では,米国のARPAやヨーロッパのESPRITのプロジェクトで,新聞記事を対象としたディクテーションの研究が,ここ数年,集中的に行なわれ,単語誤り10%以下のディクテーションアルゴリズムが開発された.日本におけるディクテーション研究の遅れを取り戻すことを主目的として本研究を行なってきた.まず,申請者を代表とする大語彙連続音声認識研究用データベースワーキンググループ(WG)を,情報処理学会の音声言語処理研究会に,平成7年11月に2年計画で発足させた.このWGでは,大語彙連続音声認識(ディクテーション)の研究用のデータベースを整備し,音声認識要素技術の評価ができる基盤をつくることができ,平成9年10月に初期の目的をほぼ達成し,活動を終了した. このWGの活動は,平成9年7月からIPA(情報処理振興事業協会)の「独創的先進的情報技術に係わる研究開発」の実施テーマ「日本語ディクテーション基本ソフトウエアの開発」として取り上げられ,3年間の予定で研究開発が続けられている. 本科学研究費補助金は,これらの日本語ディクテーションに関する研究のデータベースや研究開発を加速し,WGやプロジェクトを具体化するのに大いに役立てられた.とくに,本科学研究費補助金による申請者の研究室での研究成果もあり,日本語ディクテーションに関する研究開発を組織化することができた.
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