研究概要 |
本研究の目的は,人工物の設計情報と組立情報から,人工物の挙動を解析・可視化させる枠組みを作成し,設計変更や組立手順の変更が機構の機能に与える影響を迅速に明示する仮想現実感システムを作成することである. 人工物の設計はCADの隆盛により迅速化されたが,組立,動作確認は進歩していない.部品公差などに基づいた不具合検査は可能となっているが,部品形状と組立手順が機構に与える影響を迅速に知ることが出来ない,市販の機構検査プログラムはカスタム化が困難であり,検査すべき機構の記述が複雑なため機構の記述誤りや,部品変更に伴う機構の記述変更ミスが多く,正しい機構検査が困難である.部品に誤りがあれば,部品形状と機構記述の両者の変更が必要となるため,機構検査を設計の初期段階から使用することは不可能に近い.仮想空間で部品を簡単に組み立て,機能を確認する簡易な方法を確立すべきである.そこで,データーグローブを用いて機械部品を自由に組み立てることにより,実空間と同様に組立品を動作させる支援システムを作成した.しかし,描画だけでは,部品の挿入や,部品同士の結合の確認に問題が生じるため,補助線による軸合わせと力覚の導入を行ない,効果を確認した. このようにして組み立て手順が決定されても,組立の完全自動化は困難であり,組立工程への人間の導入が必要となる.また,製品が破損・故障した際には修理が必要となる.これらの過程に専門家を導入すると製品価格の高騰を招くことになる.そこで,非専門家の導入が不可欠となる.そのためには,組立・修理方法を教示するシステムが必要であるが,上記システムを利用すれば容易に実現可能である.自由な対話を確保するための音声言語導入と自由な組立手順の試行錯誤の導入は,子供も含めて非専門家に機械組立とその結果を確認させるのに優れた効果を持つことが確認された.
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