研究概要 |
マルチメディア通信や仮想現実では写実性の高い画像を高速に作成する技術が求められている.本研究では,カメラで撮影した実写画像とコンピュータグラフィックスで作成した生成画像を用いて高品質な画像を合成するための技術基盤としてカメラモデルとキャリブレーションに着目し,下記の4項目について研究を行った.その成果をまとめると以下のようになる. 1. Calibrated Computer Graphicsによる画像合成の試み 実カメラをキャリブレーションして得られるモデルパラメータを用いてリアルな画像を生成する"Calibrated Computer Graphics"の手法を構成した.複数枚の実写画像と多数の仮想物体で構成されたシーンを対象に,連続フォーカス画像を作成し,高品質な画像合成が可能であることを示した. 2. Calibrated Computer Graphicsのための高速画像生成アルゴリズム 逆投影ぼけモデルに基づく高精度なぼけ画像生成アルゴリズムである多重Zバッファアルゴリズムの高速化と画質評価を行った.また,多数のピンホール画像からぼけ画像を生成する多重ビンホールアルゴリズムを構成し,多重Zバッファアルゴリズムと比較評価した. 3. Calibrated Computer Graphicsのためのズーム・フォーカス・アイリス統合カメラモデル ズーム,フォーカス,アイリスの3種類のレンズパラメータを統一的に記述する統合カメラモデルを構成し,そのキャリブレーション手法を明らかにした.また,統合カメラモデルを用いて実写画像と仮想物体の合成を行い,ズーム,フォーカス,アイリスを連続的に変化した画像が作成可能であることを示した. 4. ズームレンズの光学的歪みの解析と補正 ズームレンズの特徴的な光学的歪みである口径蝕現象(画像周辺部の明度低下)の性質とその補正法を明らかにした.単一凸レンズの前面に可変円筒モデルを付加したカメラモデルを提案し,円筒長,入口半径,出口半径の三つのパラメータで口径蝕現象を記述できることを示し,実験的に検証した.
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