研究概要 |
本研究の目的は,分散情報システムにおけるシステムデバッグ,障害監視,性能評価等に対応するために,ネットワーク上でのシステム動作を監視することによって,個々の動作を復元し,システム全体のマクロな動作を再現する分散情報システムモニタリング方式の確立である.そのため,分散情報システムの動作をネットワークレベルで監視するネットワークモニタリング技法,モニタリングによって得られたデータの可視化方式,データを解析することによりシステム動作を復元する動作復元方式を探求した. 本研究成果を,分散情報システムモニタリングに関連して,(1) 分散システムの監視,(2) 分散システムの性能解析・評価,(3) 応用システムの3つの項目に分類した. (1) については,インターネット上のシステム動作データを記録し,3次元グラフィックスとして表示する簡易ネットワーク監視システムを開発した.そのシステムを用いて,キャンパス内ネットワークの測定と解析を行った.特にボトルネックとなっている通信レートの検出,異常に遅いノードアクセスの検出が可能になり,ネットワークシステムの構成の改善に有効であることを実証した. (2) については,WWWアクセスログデータの参照パターン解析手法の提案,解析した参照パターンに適したWWWプロキシサーバのキャッシュ置き換えアルゴリズを提案し,キャッシングの改善に有効であることを実証した.また,システムのロードバランスを適合制御する方式を提案し,その有効性をシミュレーションによって示した. (3) については,分散情報システムにおけるアプリケーションの品質に着目した分散システム管理フレームワーク,インターネット上に分散した情報の個人利用に着目した仮想図書館,WWWキャッシュのログ情報を利用したWWW情報更新管理サーバ,Ad Hoc型ワークフローを対象としたWWWを利用したシステムを開発した.
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