研究概要 |
本研究は,納期を厳守したスケジュールを作成するための実践的なスケジューリング方法を開発,提案することを目的とし,以下の成果を得た.ここで,納期を重視したスケジューリングでは,納期が顧客によって設定されるため,納期遅れが許されず,また,納期に合わせて製品が出荷されるため,生産終了時刻から納期までの在庫保持費用が必要である。 1.顧客によって事前に設定される納期の制約と計画期間の基準時刻から,与えられた問題に実行可能解が存在しない場合に,特急生産を考慮して納期厳守スケジュールを作成する近似アルゴリズムを提案した。そのときの目的関数は在庫保持費用と特急生産費用の総和最小化である。 2.食事や機械のメンテナンスのためにあるいは夜間や休日の操業を避けるために予め機械に対して設定される稼働動停止時間帯を考慮し,さらにジョブ順序に依存して段取り時間が異なる場合のスケジューリングにおいて最大納期遅れ最小化の分枝限定法に基づく最適アルゴリズムを提案した。さらに,納期遅れを回避するための稼働停止時間帯の開始時刻や修了時刻を調整する方法を提案した。 3.稼働停止時間帯の短縮を考慮して,納期厳守スケジュールを作成するための稼働停止時間帯の開始時刻や終了時刻を決定するスケジューリングアルゴリズムを提案した。そのときの目的関数は在庫保持費用と残業費などの稼働停止時間帯の短縮費用の総和最小化である。 4.生産時間が調整可能な生産システムを対象に,原材料の入手可能時期や前工程の終了時期に相当する着手可能時刻の制約ならびに顧客によって設定される納期制約の下で,生産コストと在庫保持コストの総和最小のスケジュールを作成する近似アルゴリズムを提案した。
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