研究概要 |
対象とした触媒物質は、TiO_2,ZrO_2,Y_2O_3,γ-Al_2O_3,α-Al_2O_3,SiC,TiBaO_3である。受け入れのままの粉末材料に加え、超音波化学的還元法でAu,Pt,Pdを担持したものも対象に加えた。試料の材料評価として、X線回折と透過電子顕微鏡観察を行った。 γ線誘起触媒の活性の評価のため、粒子材料を蒸留水中とともにパイレックスガラス製バイアル中に入れアルゴンガスを通じて脱気してから密閉状態で^<60>Coγ線を室温照射した後、バイアル内の自由空間に滞積した水素ガスをガスクロで測定した。懸濁状態を保つために照射中も撹拌を行った。純水だけを同条件で照射し水の放射線分解による水素ガスも測り、これに対する相対値で各々の粒子材料の水素発生の活性を比較・評価した。 太陽光の有効利用のため紫外線を対象とする光触媒反応で高い活性を示すチタニアはγ線触媒活性は低く、γ-,α-Al_2O_3が高い活性を示した。また、貴金属の担持の効果は調べた範囲内ではγ線触媒活性を下げ、放射線分解で発生するレベルの水素も出さなくする逆反応を示唆する組み合わせも見出した。これらの結果は、γ線と紫外線光量子の触媒作用の違いを示唆するもので、今後の研究課題を多く摘出することができた。 当初の目的のひとつは、重水素で標識された分子を含む溶媒水を使い発生水素の同位体比率を質量分析器で分析し触媒の素過程の情報を得ることだったが、流用予定の質量分析器が使用不能となったため、この実験は行えなかった。しかし、超音波還元法による貴金属コロイドの担持実験の副産物として、PdとAuの同時還元により合金超微粒子ではなく、Auの核にPdの殻を持つ構造の数nm級の超微粒子を得て高分解能電子顕微鏡観察でこれを確認するという予期せぬ成果を挙げた。
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