研究概要 |
タンパク質の膜透過を媒介するチャンネルを形成すると考えられている内在性膜タンパク質複合体におけるタンパク質間の相互作用について、基礎的な調査を行った。ヒスチジンタグを付加したHis6-SecE,His6-SecYを発現するプラスミドを作製した。これを大腸菌細胞で発現させ、細胞質膜を非イオン性界面活性剤で可溶化し、Ni^<2+>NTAカラムにアフィニティー吸着させ、イミダゾールで溶出することにより、簡便にSecE-SecY-SecG複合体を単離する方法を確立した。第4細胞質領域にアミノ酸置換を持つSecY24変異タンパク質はHis6-SecEと共溶出されず、この時SecGのHis6-SecEへの結合も見られない。一方、His6-SecY24はSecEの共溶出は許さないものの、SecGの結合は許すことがわかった。また、SecG欠失変異株からもSecY-SecE2者複合体は単離できた。従って、他の研究室からの報告と異なり、SecYが3者複合体の中心に位置し、SecE,SecGは独立にSecYと直接相互作用することが明らかとなった。この複合体は界面活性剤によって可溶化した状態では、膜に組み込まれた状態に比べて不安定であり、23℃〜26℃の間で解離した。2者複合体ではこの解離温度が約3℃低下する事から、SecY,SecE,SecG3者の共存による安定化効果の存在も示唆された。SecY24変異によってSecEとの相互作用が損なわれると考えられるが、SecY24変異による膜透過装置の性状変化について、尿素に対する感受性の増加、SecAとの相互作用変化、Sydタンパク質による阻害効果などを見いだした。
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