研究概要 |
1.S-(1,2-Dicarboxyethyl)glutathione(DCE-GS)トリエステル体のアセトアミノフェン肝障害抑制作用 生体に常在するグルタチオン関連ペプチドであるDCE-GSのトリエステル体を経口投与することより,ラットにおいて,アセトアミノフェンによって引き起こされる肝障害が抑制された。これはDCE-GSトリエステル体が肝臓中のグルタチオンレベルを上昇させる事によるものであることを明らかにした(Biol.Pharm.Bull.,19(9),(1996)1216-1219)。 2.DCE-GSトリエステル体のグルタチオン上昇作用 DCE-GSトリエステル体のグルタチオン上昇作用についてその機構について検討を行った。その結果,DCE-GSトリエステルは投与後速やかに細胞内に取り込まれ,DCE-GSに加水分解された後,グルタチオン合成の律速酵素であるγ-glutamylcysteine synthetaseを活性化するためであることを明らかにした(Prot.Pept.Let.3(6),(1996)355-160)。 3.Yeast中のDCE-GS Yeast中にDCE-GSが存在する事を明らかにした。また,YeastにおいてDCE-GSがグルタチオンとリンゴ酸を基質として生合成され,この生合成酵素を部分精製した結果,分子量49kDaのモノマーであることが明らかとなった。 4.嫌気的また好気的培養条件下でのYeast中システイン,グルタチオン量及びその関連酵素の変動 Yeastを好気的に培養した場合,嫌気的な場合に比べてcatalaseやsuperoxide dismutaseのような活性酸素に対する防御的な酵素の活性が上昇し,また、システイン及びグルタチオン量が上昇した。このシステイン量の上昇はシステイン合成酵素であるcystathionine β-synthetaseの活性化によるものであった。
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