研究課題/領域番号 |
08680710
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物物理学
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
平塚 寿章 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (30041825)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1996年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | モーター蛋白質 / ミオシン / 螢光標識 / ATPの結合 / 構造変化 |
研究概要 |
筋肉が収縮するためにはミオシン頭部がATPを加水分解して得た化学エネルギーを力学エネルギーに変換しなければならない。しかし現在のところこのエネルギー変換に必要なミオシンのATP結合ポケットの“動き"については不明な点が多く残されている。 分子の一部に有用な螢光団が標識されているが、ATP本来の生物活性はほとんど元のままに残されている螢光標識ATPは筋肉のエネルギー変換機構の研究に非常に役に立つ。今回ミオシンに対して天然のATPと同じように使用でき、ATP加水分解反応を直接測定できる三種類の螢光標識ATPを開発した。 これらの標識物では7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル(NBD)基とピレン(Pyr)の各螢光団がATP分子の糖部分に標識されている。NBD-ATPでは糖部分から螢光団までのアームが長いもの(NBD5-ATP)と短いもの(NBD2-ATP)の二種類を開発した。これらの螢光標識ATPは、ミオシンによりATPとほぼ同じように加水分解された。対応するADP標識物もミオシン頭部あたり1モルが、天然のADPと同じように0.5〜1.3μMの解離定数で結合した。 NBD5-ATPとNBD2-ATPを480nmで励起すると540nm付近に螢光を発した。一方Pyr-ATPを360nmで励起すると400nm付近に螢光を発した。NBD5-ATPとPyr-ATPの螢光はミオシンによる加水分解反応中は一度消光され、反応終了後はほぼ元の値に回復した。一方、NBD2-ATPの螢光変化の様子はこれらと全く逆に、加水分解中は増加した。これらの螢光変化をモニターすることにより加水分解速度を直接測定することができた。得られた速度定数は0.06〜0.08s^<-1>で、ATPの値(0.06s^<-1>)とほぼ同じであった。 以上の結果から、これら三種類の新規螢光標識ATPはミオシンに対してATPの代わりに使用可能で、加水分解速度を螢光変化から直接測定でき、螢光団が結合しているアームの長さを変えると、ATP結合ポケットの中の異なる領域の動きを捉えることが可能であることが明らかになった。
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