研究概要 |
1.分裂酵母第2染色体から分離した自律複製断片(ARS)のうち、3つが染色体上でも複製開始点として機能することを二次元ゲル電気泳動法による複製中間体の解析により示した。 2.染色体上でもプラスミド状態でも、ほぼすべての細胞周期で複製開始するARS2004を用いて複製開始必須領域を解析した。 (1)940bpのARS2004の複製に必須な領域I(40bp),II(120bp),III(80bp)を同定した。 (2)リンカースキャン法による置換変異の解析からアデニンストレッチが複製に必須であることを示した。 (3)3つの必須領域のそれぞれ或いは全てを、polyA配列で置換えたものは機能するがpoly(AT)で置き換えたものは機能しないことから、アデニンストレッチは二重鎖を開裂しやすい性質よりも蛋白質の結合配列として機能する可能性が示唆された。 (4)アデニンストレッチ(40bp)と領域II,IIIのみをベクターに挿入したものが複製能を持つことから、これらの配列が複製開始に必要充分であることを示した。 アデニンストレッチを基本形とする配列が繰り返し存在する構造が分裂酵母複製開始点の特徴であり、この様な構造は出芽酵母とは大きく異なるものである。 3.出芽酵母複製開始必須配列に結合し複製開始因子の候補であるORC(origin recognition complex)の分裂酵母におけるホモログ、orp1,orp2遺伝子にtagを組み込んだ融合遺伝子を発現誘導し、免疫沈降法によりこれらの遺伝子産物が相互作用することを検出した。 4.分裂酵母複製必須配列とorp1,orp2蛋白との相互作用を検出する実験系を検討中である。
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