研究概要 |
Goosecoid遺伝子は腹側中胚葉である血液の文化を抑制し、背側中胚葉である脊索、あるいは神経組織を促進することがEddy M.DeRobertisらによって報告されている。この遺伝子はアクチビンにより誘導されることが知られている。我々はアクチビンにより赤血球に文化する赤芽球系細胞F5にgoosecoid遺伝子(gsc)を発現させると文化を抑制することを見い出した。本研究はこの細胞F5-gsc74-3を用いてgscがどのようなメカニズムで血液の発生を抑制するのかを明らかにすることを目的としている。この系でレチノブラストーマタンパク質(RB)に結合性でアクチビン刺激とともに減少する分子としてがん遺伝子etsファミリーのPU.1を検討した。etsファミリーのfli-1,ets-2,PU.1をin vitroの転写・翻訳系を用いて合成し、goosecoidタンパク質(GSC)-ビーズへの結合を検討したところ、PU.1だけが特異的な結合を示した。in vivoでもアクチビン刺激とともに減少し、GSC結合性の分子量37,000-44,000の分子はPU.1であることを免疫沈降法で確認した。また、PU.1のN末がGSCに結合することを見い出した。このことは、PU.1とRBの結合をGSCが競合的に阻害していることを示唆している。神経系細胞でgoosecoid遺伝子は神経突起を誘導するとの結果を得た。
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