研究概要 |
本研究では,線虫より単離された2つの新しいWeel様タンパク質をコードすると考えられるcDNAについて解析を行い,以下の新しい知見を得た. <線虫weel様cDNAの単離・配列決定>DNAデータベースの情報を元に,線虫より2種のWeel様タンパク質をコードすると考えられるcDNAを単離し,全塩基配列を決定した.他の生物のWeelとの比較を行ったところ,タンパク質リン酸化酵素活性部位では,Weelファミリータンパク質リン酸化酵素に特異的に保存されているアミノ酸が全て保存されていた.片方のクローン(クローン8)は活性部位のC末に膜結合領域と考えられる部位が存在し,Weelファミリーに属するT14/Y15キナーゼMyt1のホモログであると考えられるものであった.他方のクローン(クローン6)は膜結合領域と考えられる領域は存在しないものの,活性部位が比較的N末に存在することなどこれまでに知られるWeelファミリーキナーゼとは異なる構造を取っていることが予想された. <Weel様タンパク質の活性の解析>これらのcDNAをバキュロウイルスの系で発現させ,サイクリンB・Cdc2を基質とするタンパク質リン酸化反応で活性を解析した.Myt1のホモログと考えられたクローン8には,実際Cdc2のT14,Y15をリン酸化する活性が確認できた.クローン6はT14のみをリン酸化する活性が検出され,これまで知られていない新しいタイプのWeelファミリーキナーゼであることが明らかになった. <Weel様タンパク質の基質決定部位の解析>クローン6と8の活性部位の比較を行い,基質特異性に関与すると考えられる部位の予測を行った.現在その予測を実証する実験が進行中である.
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