研究課題/領域番号 |
08680782
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
細胞生物学
|
研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
増田 道隆 国立循環器病センター研究所, 循環器形態部, 室長 (00190364)
|
研究分担者 |
大澤 正輝 国立循環器病センター研究所, 循環器形態部, 室員 (40291182)
|
研究期間 (年度) |
1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1996年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
|
キーワード | 血管内皮細胞 / 流れ / PECAM-1 / SH-PTP2 / SHP2 / チロシンリン酸化 |
研究概要 |
我々は細胞接着分子PECAM-1が、流れや浸透圧刺激などの機械刺激により急速にチロシンリン酸化されることを明らかにした。本研究では、PECAM-1のチロシンリン酸化の細胞内情報伝達に果たす役割の解明をめざして、チロシンリン酸化されたPECAM-1に特異的に結合するタンパク分子を探索した。 GST融合タンパク質として発現させたPECAM-1の細胞質ドメインを用いて、PECAM-1がどのようなタンパク質と相互作用するのかをFar Western blottingで検討した。その結果、分子量65kDaのバンドにチロシンリン酸化特異的な結合がみられた。このタンパク質を内皮細胞の大規模培養より精製し、部分アミノ酸配列からタンパク質チロシン脱リン酸化酵素の一種SHP2(SH-PTP2,PTP1D,PTP2C,Syp)であることを明らかにした。共免疫沈実験により、実際に内皮細胞内でこの結合が起こっており、PECAM-1が内皮細胞におけるSHP2の主要な結合分子であることが示された。この結合は機械刺激依存的に増加し、またSHP2の2つのSH2ドメインを持つGST融合タンパク質とPECAM-1の結合も刺激依存的に増大することから、PECAM-1/SHP2結合はPECAM-1のチロシンリン酸化を介するものであった。 本研究はSHP2が機械刺激の情報伝達に関与していることを初めて示したものである。細胞内情報伝達において、SHP2はレセプター型チロシンキナーゼのすぐ下流でRasの活性化に働いている。内皮細胞では、流れなどの機械刺激によるMAPキナーゼの活性化が最近報告されている。MAPキナーゼ活性化は、遺伝子発現の変化など、"遅い"流れ応答で主要な役割を果たしているものとされ、少なくともその一部はPECAM-1/SHP2/Rasを介しているものと考えられる。本研究により、内皮細胞の機械刺激応答におけるPECAM-1チロシンリン酸化は細胞内情報伝達において重要な意義を持つことが示唆された。
|