研究概要 |
(1)イトミミズ胚D細胞系列の小割球の発生運命を明らかにするために、西洋ワサビ過酸化酸素(HRP)およびDilC_<16>(3)の顕微注入による細胞標識法で細胞追跡を行い、ほぼすべての細胞系譜を明らかにした。第1小割球(1d)は4日目胚の左側面の約70%を覆う表皮となる。第2小割球(2d)は左右それぞれに4個の端細胞(N,O,P,Q)を形成し、胚帯を形成する。胚帯から表皮(成体型)、腹側神経節、抹消神経が形成される。第4小割球(4d)は等分裂して左右のM細胞をつくり、そこから胚帯が形成される。この胚帯由来の細胞は中胚葉組織(腎管、筋層、その他の体腔壁)になるが、表皮や消化管形成には参加しない。ただし、腹側神経節にもわずかであるが一定のパターンで分布している。(2)第7、8体節の腎管を指標にして、体節の個性化機構を特定割球の除去・標識を組み合わせて解析した。腎管がつくられる体節は胚内での位置によって決まるのではなく、Mから放出されるm細胞の形成順位で決まることが示唆された。(3)2dや4dに特異的に隔離される母性因子の探索をcDNAサブトラクション法で試みているが、はっきりと局在を示す分子はまだ見つかっていない。
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