研究課題/領域番号 |
08680811
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経解剖学・神経病理学
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
高橋 均 新潟大学, 脳研究所, 教授 (90206839)
|
研究分担者 |
山田 光則 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (30240039)
若林 孝一 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (50240768)
|
研究期間 (年度) |
1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1996年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
|
キーワード | 青斑核 / メラニン含有神経細胞 / シナプス終末 / 加齢 / 黒質 / パーキンソン病 / グリア封入体 / アストロサイト |
研究概要 |
ヒト青斑核のメラニン含有神経細胞体に陥入して存在しているシナプス終末についてSVP(シナプス終末のマーカー分子)免疫組織化学を用いた細胞定量的検討および電顕的観察を行い、このシナプス変化と加齢との関連を検討した。・対象はヒト48剖検例(5〜94歳;平均48.6歳)。ヒト青斑核のメラニン含有神経細胞数は年齢との間に有意な相関は認められなかったが、胞体内にSVP顆粒を有するメラニン含有神経細胞数は加齢に伴って増加し、年齢との間に有意な相関が認められた(n=48;r=0.48;p〈0.001)。また、全メラニン含有神経細胞数に対するSVP顆粒を有するメラニン含有神経細胞数の比も加齢に伴って有意に増加していた(n=48;r=0.55;p〈0.001)。胞体の面積の定量的解析では、 SVP顆粒を有するメラニン含有神経細胞が有しないそれらより大きいことが示された。電顕的には、有芯顆粒を持つシナプス終末と持たないシナプス終末が観察された。本研究からヒト青斑核メラニン含有神経細胞ではシナプス終末の胞体陥入という現象が、神経細胞の変性・脱落とは無関係に、また、前シナプスの性状に特異性なく、しかし加齢に伴って増加することが明らかとなった。これは、これまで実験動物を含め全く記載のないシナプス形態であり、ヒトの加齢に伴う神経伝達機構の何らかの変化に対するひとつの修復(あるいは適応)機序の表現ではないかと推測された。 その後、ヒト中脳黒質のメラニン含有神経細胞においても同様の現象が起きていることを示唆する結果を得ている(未発表データ)。また、この研究を通して、パーキンソン病中脳では、グリア細胞(アストロサイト)内にGallyas-positive、tau-negativeの封入体を発見することができた。今後、本症の病態解明にはグリア細胞の病理学も極めて重要になるであろうことが示唆された。
|