研究課題/領域番号 |
08680812
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経解剖学・神経病理学
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
工藤 基 金沢大学, 医学部, 教授 (80108141)
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研究分担者 |
守屋 円 金沢大学, 医学部, 助手 (20230162)
河野 純 金沢大学, 医学部, 助手 (80251924)
北尾 康子 金沢大学, 医学部, 助手 (00019613)
尾小山 重雄 金沢大学, 医学部, 講師 (30019575)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1996年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 神経発生 / 下丘 / 上オリーブ核 / ラット / 聴覚中枢 / 交叉 |
研究概要 |
神経回路の機能発達について未解決な問題のひとつに交叉性投射と非交叉投射のちがいがある。これは発達モデルを考えるとき重要な問題であるにもかかわらず、その生物学的基礎となる知見は皆無であった。本研究では神経回路の形成過程のメカニズムを探るべく、両耳機能がよく知られている外側上オリーブ核(LSO)の交叉性投射ニューロンと非交叉投射ニューロンの神経発生のちがいを調べた。ラットにおける実験結果から、交叉性投射ニューロンは非交叉投射ニューロンに1-4日も先んじて発生することがはじめて証明された。研究方法としては3H-Thymidineを用いたオートラジオグラフ法によるものが従来唯一のものであったが、最近BrdUを用いた免疫組織化学による方法が新しく導入され、神経トレーサーや他の免疫組織化学と多重染色が技術的に可能となってきた。我々はこの方法をいち早くとりいれて所定の研究成果を世界に先駆けて得ることができた。またニューロンがいかなる活性物質を持ちどことどのようなシナプス結合しているかを探るべく、聴覚系をはじめとして脊髄前庭系および脊髄神経節など種々の系でさらに研究が進行中である。聴覚領域で現在最も解析が求められている課題は:1)上オリーブ核の他の全ての亜核において下丘に投射する交叉性および非交叉性ニューロンの発生順序、2)その神経伝達物質、特にGlycine作動性かGABA作動性かのニューロン単位での違いである。LSOにおいては同時期に最終分裂を終えたニューロンが同じ投射標的をもち同じ伝達物質を発現することが証明されたことで、これが細胞の遺伝子依存性の強い発現システムであるといえる。逆に最終分裂時期との相関関係のない伝達物質や線維結合があれば遺伝子依存性が少ない可能性もある。将来の研究戦略として遺伝子レベルの解析を進めてゆきたい。
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