研究課題/領域番号 |
08680820
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経解剖学・神経病理学
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
松田 正司 愛媛大学, 医学部, 教授 (40173843)
|
研究分担者 |
阪中 雅広 愛媛大学, 医学部, 教授 (60170601)
|
研究期間 (年度) |
1996 – 1997
|
研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
|
配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1997年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1996年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
|
キーワード | 塩基性線維芽細胞成長因子 / 核内移行 / 神経回路形成 / 小脳 / 再生肝 / 筋芽細胞 / 細胞分裂 / FGFレセプター / 塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF) |
研究概要 |
平成8年度は1について研究を行ったが、研究の進展をはかるために平成9年度は2、3の系を用いた。 1、発生期の小脳プルキンエ細胞を用いた研究。 bFGFに対する特異抗体を用いて発生期の小脳プルキンエ細胞内bFGFの局在を調べたところ、核にbFGF陽性反応を示すプルキンエ細胞の比率は生後3週の90%をピークに、その後は減少し、生後12週では5%となった。小脳プルキンエ細胞の標的細胞である小脳核神経細胞上にbFGF陽性終末が見られ始めたのは、生後3週からであった。 2、再生肝でbFGF 再生肝でのbFGF陽性細胞の増減は、細胞分裂のマーカーであるPCNA陽性細胞の増減と一致した。bFGFは肝実質細胞の核に強く認められ、核分画のイムノブロットから、核移行bFGFは高分子型bFGFであることが判明した。肝実質細胞以外にも内皮細胞の核及び細胞質に強いbFGF陽性反応が認められた。 3、筋芽細胞を用いた研究。 鶏胚においてbFGFが幼弱な筋芽細胞に多く含まれていることが判明した。幼弱な筋芽細胞が分化した筋細胞に混在する4週齢のdystrophic mdxマウスの咬筋を用いてbFGFと筋細胞分化との関係を検討した。咬筋組織内にはbFGF陽性反応を示す幼弱な小細胞が小塊をなし多数存在していた。電顕で観察すると、細胞内の筋原線維が増加し、細胞が成長するにつれてbFGF免疫反応強度は減少し、その結果、中型及び成熟筋細胞には、bFGF免疫染色はほとんど見られなくなった。核内のbFGF陽性反応も小型の細胞にのみ観察された。 bFGF及びbFGFの阻害剤であるplatelet factor4(PF4)を用いてbFGFが筋芽細胞の増殖や分化にどのような作用を及ぼすかを培養系で検討した。その結果PF4は用量に依存して筋芽細胞の分裂・増殖を有意に抑制することが分かった。一方、bFGFは用量に依存して有意に筋芽細胞の分裂と筋線維への分化を促進した。筋芽細胞の膜成分を用いたBLAcoreシステムでの実験では、PF4は用量依存的にbFGFと筋芽細胞の膜成分の結合を阻害することが判明した。 以上のようにbFGFは多くの細胞系で細胞質のみならず核にも分布し細胞分裂と増殖の両方に強く関与している可能性が示唆された。
|