研究概要 |
1.ラット視床背内側核(MD)からニューロン活動を記録し,要素/構成刺激一報酬連合課題に対するニューロンの応答様式を解析した。本課題では,条件刺激(感覚刺激)と報酬の組み合わせにより,ラットに,それぞれ蔗糖溶液,脳内自己刺激(ICSS),および無報酬を意味する7種類の感覚刺激を弁別させる。ラットは,それぞれの感覚刺激(2秒)の終了時に,口直前に突き出されたチューブを舐める(リック)と,蔗糖溶液やICSSのような報酬(快刺激)は獲得でき,電気ショックのような嫌悪刺激(不快刺激)は回避できる。その結果,MD内側部には報酬と連合した感覚刺激の認知,および感覚刺激と報酬の連合形成に関与するニューロン(条件刺激関連ニューロン)が,MD外側部ぬは行動学習(リック運動)に関与するニューロンが局在することが明らかになった。 2.同様の課題を用いて,ラット前部帯状回(AC)ニューロンの応答様式を解析した。その結果,AC前腹側部には報酬と連合した感覚刺激の認知,および感覚刺激と報酬の連合形成に関与するニューロン(条件刺激関連ニューロン)が,AC後背側部には行動学習(リック運動)に関与するニューロンが局在することが明らかになった。さらに,条件刺激関連ニューロンの応答を多次元尺度分析法により解析した結果,AC前腹側部では,報酬随伴性により条件刺激が分類されて再現されていることが判明した。 3.条件刺激一報酬連合課題および4基本味に対するラット扁桃体ニューロン活動を記録し,ラット橋結合腕傍核味覚野のニューロンの応答性と比較・解析した。その結果,扁桃体ニューロンは,橋結合腕傍核味覚野ニューロンとは異なり,1)多感覚性応答を示す,2)味覚の情動的評価を行っていることが判明した。
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