研究概要 |
rdwは当初下垂体性の侏儒症である亡報告されが,その後甲状腺機能低下症であると推測されるに至った.当該年度では,原因遺伝子の探索のためrdw甲状腺の形態学的・タンパク質解析を行い,併せてモデル動物としての有用性について検討した. rdw甲状腺を電顕レベルで解析した結果,濾胞上皮細胞は分泌穎粒の形成が認められず,濾胞上皮細胞の小胞体が著しく膨らんでいた.膨らんだ小胞体内には免疫組織化学的に高密度のサイログロブリンが検出されるが,管控内には極めて少なく-膜破片に沿って存在する.従って合成されたサイログロブリンの大部分が濾胞腔に放出されず,小胞体に蓄積されると推測される.二次元電気泳動を用いたrdwの各組織のタンパク解析の結果,下垂体と甲状腺のみで特徴的な差がみられた.rdw下垂体ではGHとPRLで有意な減少と,未同走の28kDaタンパクの増加がみられた.rdw甲状腺では,正常に比べて少なくとも15種類のタンパクの増加がみられた.これらの15種類のタンパクのうち、熱ショックタンパク(hsp70)は免疫学的手法で,Ig重鎖結合タンパク(BiP/GRP78),エンドプラスミシ(GRP94)はマイクロアミノ酸解析により同定された.エンドプラスミン,Bipは小胞体に存在するタンパクであることから,rdwは小胞体蓄積病(ERSD)である可能性が示唆された.rdwはこれまで報告されているマウス,ラットの株儒症とは異なるタイプのモデル動物であり,原発性甲状腺機能低下症(Primary hypothyroidism)と考えられた.また,興味あるモデル動物として種々の面で有用性であることがわかった.
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