研究概要 |
本研究では,IVUSへの相関法の応用として,血管内の血流計測および血管内腔の明瞭な描出を目的に検討を行なった.具体的内容は以下の通り. 1.相関法に関する理論解析 ◯相関法による血管血流計測法の理論解析を行い,振動子寸法や集束の有無等,種々の計測条件下での血流速と相関値の関係を定式化した. 2.計測システムの開発 ◯血管内超音波トランスデューサ 血管内に導入可能な微小振動子(1.2mmchi0.8mm)を作成した.よりS/Nの高いRF信号の取得を目的として,空間分解能の向上およびスペックルノイズの軽減について検討した. ◯データ収集・相関処理システム 連続した16枚の断層像のRFエコーデータ(4MByte)をサンプリング周波数50MHzで収集,相関処理し,結果を表示する計測システムを開発した. ◯血流ファントム 血管内での血流を模擬するファントムを作成し,in vitroでの評価実験に用いた. 3.実用性の確認 ◯血流速計測(1次元分布) 上記計測システムを用い,従来のドプラ法では原理的に測定不可能であったIVUSでの流速計測が,本手法では可能であることを確認した. ◯血管内腔描出(2次元像) IVUSで一般的なラジアルスキャン画像に対して相関法を適用する手法を考案し,血流と粥腫・血管壁の動きの違いを画像化することにより,血管内腔が明瞭に描出できることを実験的に確認した.相関法は,超音波に直交する方向の動きも検出でくる点がドプラ法より優れるが,計算処理が複雑で実時間計測が困難であるため,臨床応用は将来の課題とされていた.しかし,今回の我々の検討結果によれば,安価なパソコンでも,血管内腔像1枚を数分で処理可能であり,臨床で使用可能な専用機も十分実現可能と考えられた.相関法によるIVUSへの機能付加は,IVUSの臨床での重要性をさらに高めるものと考えられる.
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