研究課題/領域番号 |
08710007
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
哲学
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
古田 智久 日本大学, 文理学部, 専任講師 (80238683)
|
研究期間 (年度) |
1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | クワイン / デイヴィドソン / 概念図式 / 刺激 / 経験主義 |
研究概要 |
経験主義の基本的な考え方をごく単純に図式化すると、まず初めに主体(心)が外部世界から一定の感覚経験(所与)を受け取り、続いてその感覚経験を主体が既に所有している一定の概念図式に基づいて処理することによって、知識(内容)が構成される、というようになる。デイヴィドソンは、このような「概念図式」と「内容」という二元輪的図式が経験主義の最後のドグマだと主張し、またこのドグマと連動している真理の対応説、すなわち真理が感覚経験・観察との対応という基準によって決まるとする見解を放棄すべきだという趣旨の議論を展開している。本研究の目的は、デイヴィドソンの見解を分析・検討し、その問題点を明らかにし、最終的にクワインの立場を再評価することである。デイヴィドソンの主張のポイントは、「感覚経験」が知識・信念内容を規制しかつ保証するという考え方を却下するということにある。デイヴィドソンは、感覚経験に外部世界と信念内容との間を媒介するという役割を認めず、図式と内容との区別も認めない。かかるデイヴィドソンの主張に対して、現在のクワインは、曖味であった「概念図式」という概念の明確化及び「刺激」が有する役割の軽減をもって答えている。クワイン及びデイヴィドソン両者の見解をそれぞれどのように評価するかについての詳細は、現在執筆中の「観察と刺激」及び執筆予定の「経験主義の第三のドグマについて」を参照されたい。以上の攻究と併せて、本研究では、本課題と関連するクワイン及びデイヴィドソンの著作のテキスト処理を行った。このデータベース製作は今後も継続して行うことを予定しており、既にクワイン教授には同教授の著作のデータベースを(個人的研究という目的にて)製作中であることを連絡済みである。全著作のデータベース完成後は、両教授の了解の下に何らかの仕方でそれを公開することを予定している。
|