本研究は、国内外における未整理状態の道教関係資料を、明清時代のものを中心にできる限り網羅的に捜索・調査し、整理を行う試みであったが、とりあえず以下のような成果をみた。まず、現時点で国内各図書館・資料館等の漢籍目録・図書目録で確認できる当該の道教資料については、その種の目録類を具さに捜して当たることにより、ほぼ把握できたと思う。また、中国および台湾から現在に至るまで近年影印により出版されたものについても、やはり然るべき情報収集を行って捜索し、ほぼ把握できたように思う。しかし、国内にあって目録類に載らない道書も数多くあり、各地の主立った図書館のいくつかに赴いて実地に調査し当たってみたが、全体からすれば僅かな分量であったと言わざるを得ない。それらはやはり個々の図書館ごとに足を運んで図書カードをめくる以外に方法はなく、個人の力で短期間にもれなくカバーするのは到底不可能であることを思い知らさせた。 今回の調査は、一年でできるだけ全てをこなそうとしていた当初の目標からすれば不備なものであったが、必要な基礎的作業はひとまずほぼ終えたことを始め、この課題を継続的に行うにあたって何をどのように進めるべきか等について有意義な知見が数多く得られたので、自分にとっては重要なステップとして満足の得られるものであった。今後まずは諸般の事情で遅れてしまったデータベース化の作業を行い、一応の整理を加えて利便性の高い形でプリントアウトを試みたい。併せて、特に道教典籍を豊富にもしくは独自に所持している可能性の高い図書館・資料館から順に、根気よく実地調査を続けてゆく計画である。
|