研究課題/領域番号 |
08710047
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験系心理学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
林 光緒 広島大学, 総合科学部, 講師 (00238130)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 仮眠 / post-lunch dip / 眠気 / 覚醒水準 / 作業成績 / 脳波 / 時間心理学 / 連続作業 |
研究概要 |
午後に眠気(post-lunch dip)が生じることはよく知られている。この時刻の仮眠には、気分や作業成績の改善効果があるという報告と、仮眠直後には睡眠慣性(sleep inertia)の影響により、かえって作業成績が低下するという報告がある。今回、post-lunch dipの前に20分の仮眠をとらせ、連続作業中にとる仮眠の予防効果を検討した。被験者は、睡眠に対する愁訴がなく、仮眠をとる習慣のない大学生10名(男性5名、女性5名)であった。各被験者は、日中に仮眠をとる仮眠条件と、仮眠をとらない休憩条件の2つの条件を1週間の間隔をあけて実施した。各条件では00:00〜08:00に仮眠ポリグラフ記録を行い、洗面・朝食後、10:00から18:00まで20分毎に、1)開・閉眼時の安静脳波測定(各1分間)、2)気分等の測定(眠気、疲労感、動機づけ:30秒間)、3)4種類のコンピュータ課題(論理推論、英数字検出、加算、聴覚ヴィジランス:12分間)、4)課題成績に対する自己評価と気分(30秒間)を測定した。その間、12:20〜13:00に仮眠条件では、睡眠段階1開始から20分間の仮眠をとらせ、休憩条件では、ジグソ-パズルをして過ごさせた。その結果、仮眠は、作業成績に対しては改善効果を持たなかったが、眠気を改善し、作業に対する自信をもたらした。また、休憩条件で見られた開眼時のα活動の増加を抑制した。これらの結果から、post-lunch dipの前にとる20分の仮眠は、覚醒水準の維持・改善に効果があることが明らかになった。従来より、午後には眠気が起こり、交通事故も多発することが知られている。今回の結果は、短時間の仮眠がpost-lunch dipにおける眠気の改善と事故の未然防止に役立つことを証明した。本研究の結果は、時間心理学領域の研究としてだけでなく、効果的な作業-休憩計画を立案する上で産業医学や人間工学の領域にまでその応用範囲は広いものと考えられる。
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