研究課題/領域番号 |
08710050
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験系心理学
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研究機関 | 九州芸術工科大学 |
研究代表者 |
伊藤 裕之 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 助教授 (40243977)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 運動知覚 / 立体視 / 仮現運動 / ランダム・ドット・ステレオグラム / Dmax |
研究概要 |
両眼立体視を用いた擬似的な3次元空間における仮現運動の研究を行った。過去のランダム・ドット・ステレオグラムによる研究と同様、輝度によって定義された図形の仮現運動においても、背景テクスチャより前面に定位している図形の方が、テクスチャの奥や同一面上に定位している場合よりDmaxは大きくなった。これは、輝度による仮現運動の対応において、いわゆるロングレンジ運動はstereoscopic運動と同一の特性を有し、処理過程が両眼融合後に位置することを示唆する。また水平と同時に奥行き方向に位置を変えるため斜めの仮現運動においては、観察した時間条件の範囲では、その見えの軌跡は直線的で最短距離を移動し、水平方向が先に処理されることはなかった。これも上記と同様の結論を導いている。手前と奥の奥行き定位による仮現運動の非対称性について調べるため、ランダム・ドット・ステレオグラムによって、奥行きエッジのない立体ガウス形状を作成し、凹と凸の形状によるDmaxを測定した。その結果、エッジがなくても凹と凸の非対称性がみられた。奥にある図形のDmaxが極端に小さいのは、背後における面の非感性的補間によるものだけではないことが判明した。仮現運動軌跡の決定における面の役割については、3次元空間において図形が面を通り抜けるのを禁止する働きと、面に沿って運動を行わせる軌跡の捕捉の働きが存在することがわかった。以上の結果は、仮現運動の処理が、両眼立体視による奥行き処理が行われて成立した3次元表象に基づいて行われることを示しており、両眼立体視の前後に少なくとも2つの質的に異なる運動処理過程が存在するとする説を支持している。
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