研究課題/領域番号 |
08710057
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験系心理学
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研究機関 | 東海女子大学 |
研究代表者 |
大山 摩希子 東海女子大学, 文学部, 助手 (00267840)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 顔の認知 / 部分的処理 / 全体的処理 / 顔画像 / 顔パターン画像 / 非顔パターン画像 / 倒立効果 / 幼児 |
研究概要 |
本研究の目的は顔の認知処理の発達的側面を考察することであり、そのためには幼児が成人とどの点で異なる処理プロセスをもっているのかを明らかにする必要がある。 顔という視覚情報は他の多くの情報と比べた場合言語化が困難であるという点で異なっている。つまり、他の視覚情報と同じ処理(部分的原理)では効率が悪く、顔画像の認知に適した処理(全体的処理)が必要となる。しかし、その処理はある年齢に達しないと行えないと考えらており、幼児期は顔画像を部分的に処理する時期にあるといえる。確かに、部分的な処理方法は顔画像には効率的とはいえないが、部分特徴の抽出が容易である画像ではその能力が高い幼児の方がむしろ再認率は高いはずである。 ここでは、幼児が顔画像を他の視覚情報と同様に部分的に処理している点を確かめ、その能力がどの程度であるかを調べた。その結果、幼児では顔パターン画像よりも非顔パターン画像の方が再認率が高く、非顔パターン画像では幼児の方が成人よりも再認率が高く、また、倒立させた場合に顔画像や顔パターン画像よりも非顔パターン画像の再認率が高いことが分かった。これらから、幼児が顔画像を部分的に処理する傾向をもつこと、また、部分抽出の能力はむしろ成人よりも優れている点が示唆された。さらに、顔画像や顔パターン画像で幼児に倒立効果がみられ、彼らが顔パターンを含む画像をある程度全体的に処理していたことが示された。従って、顔の認知における発達とは年齢とともに部分的から全体的へと処理が切り替わることではなく、顔画像について用いられる処理自体の発達であるといえよう。最後に、顔パターン画像を取り入れた結果から、処理に関しての分類が「顔画像/顔以外の画像」ではなく「顔パターン画像/顔パターン以外の画像」とする方が妥当であろうと思われる。
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