研究課題/領域番号 |
08710066
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
教育・社会系心理学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
亀田 達也 北海道大学, 文学部, 助教授 (20214554)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1996年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 交渉 / 需要顕示 / 公共財 / 実験 / 社会心理学 / 平等原理 |
研究概要 |
本研究は、交渉ゲームの観点から、利害葛藤事態において、当事者間での話し合いが果たし得る調整機能を実証的に検討した。交渉ゲームとは、複数の当事者(プレーヤー)がいくつかの行動選択肢をもち、交渉に臨む状況を指す。このような交渉事態で、従来の検討の多くは、当事者達が葛藤の構造を初めから相互に完全把握しているという状況を仮定してきた。しかし、この仮定は非常に不自然であり、本研究では、利害の構造に関する当事者達の知識が不完全な状況を設定し、交渉過程においてどのような社会的プロセスが現出するのか、検討を行った。 本研究では“公共財"供給の状況を取り上げた。公共財は、たとえ費用を負担しなくても誰にとっても利用可能であるという特徴をもち、人々には“ただ乗り"(free riding)の動機が生じやすい。公共財供給問題を解決しようとする際の理論的な焦点として、人々のただ乗り動機を前提としながら、各個人の公共財に対する需要度をいかにして正確に把握するかという問題が存在する。適切な量の公共財を供給するためには人々の需要度を正確に把握する必要があるが、一方、各個人は自己負担額をなるべく少なくするために、真の需要度を隠す動機をも併せもつ。この問題は“需要顕示"の問題と呼ばれ、様々な解決法が提示されているものの、満足のいく解は得られていない。本研究では、需要顕示をめぐる問題が、合議のプロセスを通じどの程度まで解決されるのかを検討した。ここでは、公共財供給における公平な費用分担が、平等原理の安易な適用により阻害されるという側面に着目し、2つの実験研究を行った。これらの研究成果は、“The function of equality heuristic in distributive bargaining : Negotiated allocation of costs and benefits in a demand revelation context"という論文(投稿中)で報告されている。
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