本研究では阪神・淡路大震災被災者を対象として長期的な防災意識の変容を調査した。その結果、被災者の間では当初の不安が減少するのに伴って防災優先の意識が低下し、1年以上を経過すると住宅を喪失した仮説住宅居住者でも「絶対に防災が優先する」という態度は30%になっていることが明らかになった。防災意識の低下には被災者の当面の生活上の不安がかかわっており、生活上の細かい不安感を取り除く援助をしていかない限り、防災計画を遂行することは困難であると考えられる。長期的な防災計画を考慮すれば当面の被災者の生活上の障害を取り除くことは社会的にも有用であると考えられる。
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