研究概要 |
近年、世界的なノーマライゼーションの流れのなか,障害をもつ人たちも生活に潤いを得るためには,豊かな遊びや余暇、屋外での活動の充実が必要であることがいわれている。そこで本研究では、養護学校に在籍する児童生徒の遊びと余暇の実態を分析し,障害児の生活の質(Quality of Life)を高めるために、今後どのように家庭、学校、地域で取り組んだらよいのかを考えることを目的にした。 対象となったのは、肢体不自由養護学校の小学部から高等部までに在籍する児童生徒の保護者149名である。調査は(1)外出に関する項目、(2)遊びや余暇に関する項目、(3)遊びや余暇に関する保護者の意識に関する項目の3点からなる20項目で行った。結果は以下の3点に集約される。 まず第一に、障害が重度の子どもの方が軽度のものよりも外出頻度が多いことがある。これは障害が重いため病院や買い物まで保護者が付き添わなければならないという現実を表している。また様々な経験をさせようとする保護者の配慮が感じられる。次に障害が軽度な子どもほど、家の中ではテレビやビデオゲームなど受動的な活動で時間を費やすことが多く認められた。これとは逆に障害が重度な子どもの保護者は、余暇の使い方を工夫していることがわかった。 最後に保護者自身が、余暇をどう使ったら良いのか迷っていることが多く、できれば学校で余暇や身体活動の時間の使い方を教えてもらいたいと希望している保護者が多かったのも特徴的であった。さらにそのためにはボランティアや地域の施設や期間などの有効活用に関しての情報提供を受けられるような地盤整備が必要となることが示唆された。学校では学習や訓練の時間の他にも、卒業後もQOLを維持できるような余暇や活動のあり方について議論するべき時期にきている。
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